歯ぎしり
歯ぎしりについて
眠っている時の歯ぎしりは無意識に行っているため、ご自分ではなかなか自覚できません。ご家族や友人に指摘されてはじめてわかるケースがほとんどですが、起きた時、顎に違和感があるなどで気付かれるケースもあります。
歯に強い力がかかるため、ヒビが入る・欠けるなどが起こりやすく、虫歯リスクが高い状態です。また、歯ぐきに力がかかると歯周病の進行も早くなってしまいます。かみ合わせや歯並びが乱れることにもつながりますし、エラの筋肉を過剰に発達させてしまう可能性もあります。また、顎関節症を発症するケースも多いため、早めに治療を受けることをおすすめしています。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりは、浅い眠りの時に起こります。そのため、浅い眠りにつながりやすいお酒やタバコ、カフェイン、抗うつ剤の摂取が歯ぎしりにつながっているケースがあります。
一般的に歯ぎしりの原因としてはストレスやかみ合わせの悪さがよく知られていますが、無意識な癖が歯ぎしりの原因になる場合が実はかなり多くなっています。これには、上下の歯を接触させる歯列接触癖や日中に歯をくいしばる癖があります。こうした癖は無意識に行っており、こうした動きを筋肉が記憶しているので睡眠中にも無意識に行って歯ぎしりとなります。こうした癖を自覚することはほとんどなく、歯科診療ではじめてわかります。
歯ぎしりの治療
歯がすり減る、欠ける、ヒビが入る、割れる原因になりますし、歯周病の進行を早め、歯並びやかみ合わせを乱し、顎関節症になる可能性もありますので、できるだけ早く適切な治療を受ける必要があります。
マウスピースによる治療
眠る際に装着することで歯ぎしりによる歯へのダメージを軽減し、強く噛もうとすると違和感があるため噛みしめの予防にもつながります。顎の安静位を保つため、筋肉への負担も抑制します。歯科医院では精密にフィットするマウスピースを作成するため、かみ合わせなどにも悪影響なく治療が可能です。
マウスピースにはソフトタイプとハードタイプがあって、歯ぎしりの程度や症状に合わせたものを選択します。
かみ合わせ治療
かみ合わせが悪くなっている歯や詰め物を削るなどでバランスを調整し、かみ合わせを整えます。矯正治療が有効な場合もあります。
眠りの質を高める
低めの枕にすると、歯ぎしりをしにくくなるとされています。浅い眠りは歯ぎしりを起こしやすくしますので、就寝前の飲酒、喫煙、カフェイン摂取を控えてください。また、ベッドでスマートフォンなどを利用すると神経が高ぶってスムーズに眠れなくなり、眠りが浅くなりますのでご注意ください。
ストレスの解消
強いストレスが歯ぎしりの原因になっている場合、マウスピースやかみ合わせによる治療に加え、心療内科でのカウンセリングが有効な場合もあります。
歯列接触癖について
食事や会話の際に上下の歯の接触が起こりますが、通常は24時間で20分程度上下の歯を接触させているとされています。歯列接触癖は、それ以上に接触させている状態です。上下の歯が接触していると口周辺の口輪筋や顎の筋肉は緊張した状態になります。そのため筋肉がこの状態を通常であると認識し、寝ている間も筋肉の緊張が続いて歯ぎしりが起こります。
歯列接触癖の解消には、自覚が重要になります。正しい顎や舌の位置を指導してもらい、上下の歯を接触させないことをいつも意識するようにしてください。
食事では、左右の歯で均等に噛むことを心がけ、噛む回数を増やし、強く噛み過ぎないよう注意してください。
顎関節症
顎関節症とは
顎の関節やその周囲に問題が起こり、痛みや動きにくさを生じる疾患です。顎は複雑な形状をしており、筋肉と関節と神経が集中しています。そのため、顎だけでなく、肩こりや偏頭痛などを起こすケースもあります。進行すると顎の機能が完全に失われてしまう可能性もゼロではありません。歯科クリニックで適切な治療を受ければ、日常生活に支障のない状態にほとんどが回復可能ですので、早めにご相談ください。
顎関節症の症状
- 顎を動かすと関節の音がする(カクン・コキコキなどの音)
- 口が開かなくなった
- 口を大きく開けない
- 口がスムーズに開かない
- 口を開ける時にひっかかる
- 顎に痛みが起こる
- 食事をすると顎が疲れるようになった
- 口を左右に動かしにくい
- 顎が外れることがある
他に、味覚異常、口の渇き、嚥下困難、肩こり、腕や指のしびれ、偏頭痛、背や腰の痛み、めまい、耳鳴り、難聴、鼻づまり、呼吸困難などが生じることもあります。
症状は悪化と回復を繰り返します。
上記のような症状があったら、顎を無理に開けようとせず、すぐに歯科クリニックを受診してください。また、硬いものを食べるのも避けましょう
顎関節症の原因
さまざまな原因が複合的に作用して発症しているケースがほとんどです。
かみ合わせの悪さ、顎の酷使、歯ぎしり、歯列接触癖、生まれつき関節に問題がある、外傷、そしてストレスなどが原因になっています。
リスクが高い方
- スポーツに熱中している方
噛みしめることが多くなり顎が酷使されやすくなっています - 片側だけで噛む癖がある方
かみ合わせが悪化し、片側の顎が酷使されます - 日常的な動作の癖
唇や頬の内側を噛む、頬杖をつく、うつぶせに寝る、猫背など - 入れ歯や詰め物、被せ物が合っていない
かみ合わせが悪くなります - 緊張や不安、睡眠障害
歯ぎしりや噛みしめ、くいしばりを起こしやすくなります
顎関節症の治療
マウスピースのようなスプリントを使ってかみ合わせを治療します。これにより顎関節が正しい位置を保てるようになり、筋肉の緊張がとれ、スムーズに動かせるようになります。その後は微調整を行って、かみ合わせを整えていきます。
口をほとんど開けられないなど、症状が重い場合には手術も検討します。
症状がある時に
受診して治療を受けている場合も、日常生活に気をつけることで悪化を予防できます。
- 軟らかく、あまり噛まないで食べられるものを摂取しましょう
- 大口を開けないよう心がけ、あくびも口を最小限に開けて行うようにします
- 猫背、顎を突き出す姿勢、頬杖を避けましょう
- デスクワークや立ち仕事の場合、こまめにストレッチをして筋肉の緊張をゆるめましょう
- 目と唇を閉じて上下の歯を接触させないようにして、顔の筋肉をリラックスさせましょう
- 低い枕を使い、あおむけに寝てください